小豆島町について

平成31年度施政に関する所信要旨

<目 次>

はじめに

  平成31年第1回小豆島町議会定例会の開会にあたり、平成31年度予算案並びに関連諸議案のご審議をお願いするに際しまして、町政運営に対する所信を申し述べ、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 早いもので、小豆島町長に就任して間もなく1年を迎えようとしています。就任時に掲げた「人が集い、元気なまち」を目指して、全身全霊を捧げる覚悟を申し上げたところであり、その重責を果たすべく町政運営に奔走してまいりました。引き続き、初心を忘れず粉骨砕身の努力を傾注してまいる所存であります。
 「内平らかに外成る、地平らかに天成る」。国の内外、天地とも平和が達成される、を意味する平成が終わりを迎え、5月からは元号が変わり、新しい時代の幕が開けようとしています。
 顧みますと、小豆島町にとっても平成は町の基盤を築き、未来への投資に果敢に挑んだ30年間でした。平成の大合併と言われたまちづくりの大きな転換期の中、平成18年3月21日、内海町と池田町が合併し、小豆島町が誕生しました。以来、新町の一体的な発展と健全で持続可能な行財政運営を基本に、魅力あるまちづくりを着実に進めてきたところです。
 一方で、時代の趨勢には逆らえず、小豆島町と小豆島の最大の課題である人口減少と少子高齢化への対応は、いまだ活路を見いだすことのできない難題であり、克服することは決して容易ではありません。
 先般、香川県では19年連続で人口が減少し、その要因は自然減の一層の拡大と少子高齢化の加速度的な進行であると報じられました。小豆島町においても同様の傾向にありまして、転入が転出を上回る小さな明るい兆しがある一方で、高齢化率は43%と県内で最も高い数値であり、依然として深刻な状況が続いております。
 現在、平成30年3月に国立社会保障人口問題研究所が公表した市町別人口数値を踏まえて人口ビジョンの見直しを進めています。鋭意作業中ではありますが、その見通しは厳しい予測になると考えております。
 国においては地方創生対策として、首都圏などへの一極集中を抑止する施策を講じているものの、地方からの人口流出の歯止めがかかっていないのが現状です。
 また、日本全体の人口が減少するという、かつて経験したことのない困難な時代を迎えておりますが、私たちは何としても人口減少を緩やかにし、新しい時代に相応しい社会のあり方をつくっていかなければなりません。先人たちが弛まぬ努力で築き上げた素晴らしい自然、連綿と受け継がれてきた文化や伝統、歴史ある産業など、大切な地域の宝物を守り、その魅力を磨き、次代へ引き継ぐことは、私たちに課せられた使命です。
 小豆島町と小豆島のこれからは、自分たちの知恵と力を結集して解決するという地方創生の理念に基づき、平成のその先にある新しい時代に相応しい地域社会を構築し、そのための政策を実践する所存であります。
 平成31年度予算案につきましては、このような考え方のもと、小豆島町と小豆島の創生に向けて、大変厳しい財政状況ではありますが、積極的な予算を編成いたしました。

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予算概要

 平成31年度予算案の規模は、97億5千4百万円、前年度に比べ、18億2千百万円、23%の増になります。主な増額要因につきましては、平成30年度予算は大きな社会資本整備費等を除いた骨格予算として編成したこと、また、一般廃棄物最終処分場の本体工事の着手等によるものです。
 小豆島町の予算のうち、町で確保できる自主財源は3割程度であり、残りの7割は地方交付税、国・県補助金、町債等であり、依然として3割自治が続いております。加えて、これまで何度も申し上げてきましたように、合併による国からの財政的支援は2020年度(32年度)をもって終了し、さらには人口減少に伴う地方交付税の減額が見込まれるなど、今後の財政環境は予断を許さない状況にあります。
 平成31年度の新規町債発行額は、12億7千4百万円、町債残高は114億円程度になる見込みです。町の財政規模に照らし合わせますと、大きな額になっておりますので中期的な視点に立って有利な地方債の活用と計画的な発行に努めてまいります。
  31年度末の基金残高は、59億1千百万円となる見込みであり、前年度末に比べ4億2千6百万円程度の減額となります。合併時の残高が34億7千2百万円であったことを踏まえますと、一定の基金残高は確保できていると考えています。
 今後におきましても財政運営の指標となる中期財政計画を柱として、最小の経費で最大の効果を得る行政の基本に立ち返り、健全で持続可能な行財政基盤を構築し、「人が集い、元気なまち」を目指して、新しい時代のまちづくりを進めてまいります。
  以下、小豆島町を元気にする5本の柱に沿って、ご説明申し上げます。

健康・福祉のまち

 1つ目は、「健康・福祉のまち」です。
 町民の健康を守り、安心して暮らすためには、医療と福祉の充実は欠かすことができません。小豆島中央病院の開院から3年、「地域の皆さんに寄り添う病院」として、地域に根付いてきたことと思います。
 一方で、人口減少や少子高齢化に伴う医療ニーズの変化に柔軟に対応することも求められています。これまで小豆島には病気やケガの発生時に対応する急性期と長期に療養が必要な方に対応する慢性期の病床しかありませんでしたが、今年の3月に、小豆島中央病院に回復期を担う地域包括ケア病床が設置されています。今後とも小豆島の医療需要に適切に対応し、充実した医療を提供するため、小豆島の医療基盤の強化に努めたいと考えています。
 医師をはじめとする医療スタッフの確保は、全国的な課題となっておりますが、とりわけ過疎地、へき地に関しては、一層厳しい状況となっています。香川大学の応援を頂きながら寄付講座により医師を確保するとともに、昼夜を問わず医療に当たる救急医や産科医への支援、スキルアップ支援等の各種事業の実施により、医療スタッフの確保に努めてまいります。
 この他、医療や福祉等の多職種による連携を強化することにより医療・福祉の充実・強化を図り、小豆医療圏の魅力を高めていきたいと考えています。
 また、小豆島中央病院を維持するためには、経営も大切です。住民の皆さんの利用が無くては、いずれ経営も行き詰まってしまいます。小豆島中央病院にも一層の経営基盤の強化に努めていただくとともに、小豆島の地域医療を守り育てる島民会議等との協働を通じて、小豆島の医療が持続可能なものとなるよう取り組んでまいります。
 誰しも生涯現役、心身ともに健康であることは何より幸せなことだと思います。「健康で、幸せに」の意味を込めた「健幸アカデミー事業」では、運動と食育の推進を通じて健康への意識を高めるとともに、健康づくりや仲間づくり等の輪を広げて、地域でいつまでも元気に活躍をしてもらうことを願っています。「健康ポイント事業」では、運動教室への参加や健康診断の受診等、町民の皆さまの自主的な健康づくりを応援します。
 平成26年度に策定した健康づくり・食育事業に関する計画「にこにこプラン21」の見直しを行い、計画の進捗状況を把握して、重点的に取組むべき施策への対応を進めてまいります。
 また、「にこにこプラン21」と併せて、自殺対策基本法に基づく「自殺対策計画」を策定します。この法律では、自殺対策について国と協力しつつ、地域の実情に応じた施策を実施する責務を有するとされています。
  様々な教育活動や広報活動等を推進し、病院や学校等の関係機関と相互連携を図りながら、全ての人が健康で生きがいを持って暮らすことのできる地域社会の実現を目指してまいります。
  昨年、西日本豪雨や北海道胆振東部地震をはじめ、全国各地で自然災害が発生しました。災害に備えた避難所の整備、確保は喫緊の課題です。31年度予算では、災害発生時に高齢者や障がいのある方など、一般の避難所では生活が困難な方が避難する福祉避難所を役場西館2階に整備します。
 また、先に申し述べた通り、小豆島町の高齢化率は県内で最も高く、今から6年後の2025年(37年)には団塊の世代の全てが後期高齢者になることから、高齢者を支える仕組みを作っていくことが求められます。認知症見守りシステム事業を継続展開し、小豆島全体で高齢者を見守る体制を構築していきます。
 この他、子どもの健康対策では、安心して子育てができるよう出産後における母親の心身のケアや育児をサポートする産婦健診・産後ケア事業を4月から開始します。保健師による訪問事業や各種健診を複合的に推進することで、健康づくりの充実に取り組んでまいります。
 小豆島町では、障がいの有無に関わらず、誰もが安心して暮らすことのできる「ぬくもりと希望の島づくり」を目指し、まなぶ場、くらす場、はたらく場、ふれあう場の充実に向けて、障がい者施策を推進しております。
 共に生きる「共生」という言葉も身近なものとなり、最近では社会的弱者などを包み込む「包摂」等、社会全体の障がいに対する理解、関心が深まっているように感じますし、当然そうでなければなりません。本定例会で上程させていただきます「小豆島町障害のある人もない人も共に安心して暮らせるまちづくり条例」は、全ての町民が障がいの有無にかかわらず、共に支え合い、安心して暮らせる地域社会の実現を目指しています。本条例の基本理念に則り、障がいを理由とする差別の解消に関する施策を実施し、共生社会の実現に努めてまいります。
 重度心身障害者等医療費助成に関しては、障がいの程度等に応じて県費補助以外については対象外としていました。障がいのある方やその家族の経済的負担を軽減し、安心して医療を受けることができるよう、生活圏域が重複する土庄町と足並みを揃え、身体障害者手帳4級及び療育手帳Bの所持者を対象に、町単独助成制度を拡充し、福祉の充実を図ってまいります。
  また、障がい者が地域社会を構成する一員として、地域に暮らしながら、円滑な社会参加が促進されるよう地域包括支援センターの役割を拡げ、相談体制の強化を目指します。
 健康・福祉のまちづくりにおいて、人材の確保と育成は最も大切な取組みの1つです。引き続き、保健医療福祉関係職修学資金貸付事業の実施や初任者研修会の開催、研修助成等、土庄町と連携して人材確保に努めてまいります。

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定住・交流のまち

 2つ目は、「定住・交流のまち」です。
 昨年は、近県での西日本豪雨災害、北海道や大阪北部での地震等、全国各地で大きな災害が発生しました。小豆島町においても、水防本部を5度設置し、消防団員の召集、避難所の開設等、風水害に備えましたが、幸いにも大きな被害はありませんでした。しかしながら、少しでも台風等の進路が違っていれば、大きな被害が発生していた可能性も十分に考えられることから、防災減災対策の強化は、町民の尊い生命と貴重な財産を預かる自治体のトップとして、喫緊の最重要課題と位置づけ取り組んでまいります。
 その指針となります地域防災計画については、公民館単位による防災ワークショップにおいて、地域の生の声を伺っており、近々に予定しています防災会議を経て全面改定いたします。
 庁舎の再編に伴う防災体制の刷新、各地域の避難所の見直し等を行い、災害に対する備えを万全に整えるとともに、町民の防災意識の高揚を図ってまいります。
 とりわけ、地域における防災力の向上は共助の面において必要不可欠であり、その担い手となる防災士の育成に対する支援制度を新たに創設します。人口減少や高齢化の進展等により、地域力の弱体化が懸念されることから、自分たちの地域は自分たちで守るという原点に立ち返り、人材の育成と確保に取り組んでまいります。
 自治会集会所については、地域住民の活動拠点としてだけでなく、避難場所としての役割を果たすなど、幅広い活用が期待されています。31年度予算では自治会集会所の保全と機能強化に向けて、新しい助成制度を構築します。具体的には老朽化が著しく改修が必要な箇所の修繕代、あるいは備品購入に係る費用の一部を助成し、安全で快適な空間形成に寄与するとともに、コミュニティの醸成と防災機能の向上を図ります。
 かつて、小豆島は二度にわたる未曾有の大災害に見舞われ、多くの尊い命が犠牲になりました。以来、この大災害を教訓に、本町は災害に強いまちづくりを目指して、生活基盤の整備を着実に進めてまいりました。しかし、近年の集中豪雨や度重なる台風の襲来は、私たちの予想を超える状況にあります。
 例えば、台風による降雨と高潮が重なると、真水と海水が入り混じり、水路を越水し、道路の冠水や工場への浸水を引き起こす等、深刻な問題となっております。今後の異常気象による被害を最小限に食い止めるため、植松都市下水路の整備を進めるとともに、浸水被害が頻発している地域を中心とする雨水管理総合計画の策定に着手し、様々な角度から将来の整備構想を検討してまいります。
 道路をはじめ、港湾、橋梁等は、私たちの生活に直結する重要な社会資本です。31年度予算でも、道路環境を守っていく予算の重点化に努めております。また、橋梁につきましては、長寿命化計画に基づき、馬木川1号橋をはじめ、緊急を要する箇所から順次修繕工事に着手します。
 先般の大阪府北部地震において、ブロック塀が倒壊し、小学校児童が犠牲になる痛ましい事故がありました。こうした被害を未然に防ぎ、通学をはじめ歩行者の安全確保を図るため、国・県・町道等に面したブロック塀撤去に対する支援事業を国の社会資本整備総合交付金を活用して実施します。
 住まいに関しては、町民の安全・安心な暮らしの実現に向けて、民間住宅の耐震診断や改修支援事業、また、住宅リフォーム助成事業を継続して実施します。
 町が管理する住宅に関しては、火災警報器の計画的な更新や草壁地区改良住宅の外壁改修事業を継続して実施するとともに、住民主導による「まちづくり協議会」を設立し、今後の住宅のあり方について検討してまいります。
 全国的な社会問題となっている空き家対策については、31年度に計画期間が終了することを踏まえて、小豆島町空き家等対策計画を改訂します。引き続き、生活環境の保全や防犯面等の観点から老朽危険空き家の除却を支援するとともに、移住・定住あるいは雇用促進の一環として、空き家の有効活用策を検討してまいります。
 坂手地区に整備します一般廃棄物最終処分場については、2022年度(34年度)の供用開始に向けて、本体工事に着手します。住民生活に直結する重要施策として、地元自治会や関係機関と緊密な連携、調整を図りながら、円滑な事業の推進に最善を尽くしてまいります。
 小豆島の最大の課題は急速に進む人口減少でありますが、その一方で、瀬戸内国際芸術祭や映画の撮影、SNSを用いた情報発信等、様々なメディアの露出効果も講じて、移住者はここ数年100名超と順調に推移しております。そのうち、過去3年程度の傾向になりますが、定住率は50%程度となっており、人口ビジョンに掲げる目標を達成している状況にあります。
 31年度の新たな定住促進策として、東京圏一極集中の是正と地方の担い手不足の解消等を目的に、国の地方創生推進交付金を活用した「東京圏Uターン移住支援事業」に取り組みます。土庄町と一緒になって東京圏からのUターン者に視点を置いた定住促進事業を実施します。また、移住者の中で起業を希望する方には、香川県が事業主体となって取組みを始める起業支援金制度の構築が予定されています。
 さらに、子どもたちの部活動支援や教員の働き方改革を応援するため、地域おこし協力隊の事業を復活させ、全国の都市部からの優秀な人材を募り、町のスポーツ振興の一助にしたいと考えております。
 移住相談や都市部でのPR活動、移住体験施設の運営等、各種の定住促進施策につきましては、これまで同様、NPO法人トティエ、土庄町との一層の連携強化を図りながら、展開してまいります。
 定住人口だけに留まらず、観光等を通じて来訪する交流人口の拡大、さらには大学や企業等、島の外からまちづくりを応援してくれる関係人口の拡大も小豆島の活性化には欠かせない取組みです。
 新聞等でも報じられているように、外国人向けの国内大手情報発信サイトにおいて、外国人が訪れるべき日本の観光地で小豆島が4位に選ばれる等、島の認知度は確実に上昇しており、世界に向けた情報発信を一層強化する必要があります。
  町のホームページにつきましては、平成18年の合併時に制作以降、大きな見直しは行っておりません。この間、小豆島を取り巻く環境の変化や急速な情報通信手段の進展、あるいは情報ニーズの多様化など社会情勢は大きく変わっております。小豆島の様々な情報やその魅力を国内外へ発信する手段としての活用はもちろんのこと、災害等の緊急時における即時性の向上、あるいは高齢者や障がい者に配慮した誰もが利用しやすいホームページの構築等を目指すため、刷新いたします。分かりやすい行政情報の提供や更なる島の魅力発信による交流人口・関係人口の拡大を目指してまいります。
 私たちの暮らしを支える公共交通は、将来にわたって維持確保する必要があり、小豆島の発展には不可欠です。
 幸いなことに、平成28年3月の路線バス再編以降、通院、通学はもとより、訪日外国人観光客や瀬戸内国際芸術祭等の影響もあり、利用客数は順調に増加し、小豆島の好循環を創り出しています。持続可能な陸上交通の実現に向け、高校生通学定期助成や高齢者運転免許自主返納等の利用促進策を一層推進し、バス会社、土庄町と一体となって公共交通の充実に取り組んでまいります。
 航路は、人々の交流、物資の流通等、島の繁栄を築き上げ、港は町の玄関としての重要な役割を担っています。港湾施設維持管理計画に基づき、草壁港岸壁の老朽化した防舷材を修繕し、安全確保と利便性の向上を図ります。草壁航路の高速艇については、議会でもご質問を承っておりますが、一昨年9月に休止以降、運航事業者からは再開の目途は立っていないと聞き及んでいます。航路の維持・存続は、重要な課題と認識しておりますので、継続して事業者との情報共有に努めてまいります。
 また、船員の担い手不足が深刻な問題となっているため、昨年に引き続き、海技教育機構と連携して海洋体験教室を開催いたします。子どもたちに海への親しみ、船への関心を深めてもらい、将来の船員確保に繋がるよう地道に取り組んでまいります。

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産業のまち

 3つ目は、「産業のまち」です。
 農業、漁業をはじめとする一次産業の再生は、地域の資源を最大限に活用する地方創生の理念と共通しているように思います。小豆島だけではなく、全国的に一次産業は衰退傾向にあります。その結果、荒廃地が増え、漁港は閑散とし、美しい日本の原風景が失われつつあり、有害鳥獣による被害も年々拡大しています。若者が都市へ向かい、後継者不足は深刻な課題となっています。一次産業の再生は、長い時間を要し、様々な施策を束ねて、地道に一歩一歩進めることが大切ですが、小豆島の本質的な魅力を守っていくためには、何としても実現しなくてはなりません。
 31年度では、農業政策の柱となる「農業振興地域整備計画」の策定に継続して取り組み、農業振興を重点化するべき地域を明らかにし、農地の有効利用や農業の振興に関する施策を大きな計画としてまとめ、農業の健全な発展を目指してまいります。  
 新規就農者の生産設備導入にかかる費用を新たに支援するなど、新規就農者の確保についても継続して力を入れてまいります。
 池田地区の農業を支えてきた池田地区畑地灌漑施設は、既に50年が経過しており、漏水による修繕が増えている状況にあります。このため、施設の更新を軸とした県営中山間地域総合整備事業として、引き続き実施することにより、農業の持続的な発展を図ってまいります。
 平成31年度の税制改正において、新たに森林環境譲与税が創設されました。これを財源に、新たに「小豆島町林業振興対策基金条例」を設置し、間伐などの森林整備をはじめ、担い手確保、木材の利用促進・普及啓発等に活用することとしており、林業の振興を図ってまいります。
 町内2路線に設置している林道橋は40年以上が経過し、老朽化が著しいことから、初めて点検診断を実施し、施設の長寿命化を図ってまいります。
 有害鳥獣被害については、年々深刻化しています。捕獲頭数に至っては小豆島全体では10年前に比べると約12倍、特にイノシシは約280倍となっており、ここ5年間で急増している状況にあります。これまで同様、自助・共助・公助による対策を粘り強く進めると同時に、耕作放棄地の解消を図り、里山を整備することで、人間と野生動物の棲み分けを進めることも大切な取組みであります。
  昨年は小豆島にオリーブが植栽されて110周年を迎える節目の年でありました。先月、記念事業の締めくくりとなる全国オリーブサミットを小豆島で開催し、オリーブを核とした地域活性化に取組む全国の自治体との交流を深める有意義な機会となりました。これを機に、次の10年に向かって、先人が築いたオリーブ産業の更なる発展、飛躍を目指し、第3期オリーブトップワンプロジェクトを中心に新品種の活用や栽培推進等の各種事業を実践してまいります。
 31年度からの新規施策として、各家庭等で収穫した少量の果実でも採油できる事業に取り組みます。少量であるがゆえに、利用方法が限られていた果実を集約するシステムを構築し、オリーブオイルへの親しみや家庭での普及に繋げてまいります。
 小豆島には瀬戸内の豊かな海の幸があります。世界に誇るべき至宝とも言えます。漁業の再生に向けては、漁業振興協議会が主体となって、子どもたちを対象とした漁業体験、地魚料理教室の開催や小学校への出前授業、今年は新たに「おさかなカレンダー」の製作など、まずは漁業に興味、関心を持ってもらう取組みを実施してまいります。
  漁港等のインフラ整備については、護岸整備を継続して進めるとともに、新たに竹生漁港防波堤事業に着手し、漁港の機能を高めて水産業の振興を図ります。
 醤油、佃煮、素麺、石材等は、全国に誇るべき歴史ある地場産業であります。しかし、食生活の多様化や人材不足等、小豆島の礎を築いてきた基幹産業が、苦戦している状況が続いています。今日まで受け継がれてきた歴史ある地場産業は、さらに磨きをかけて、次の世代に繋いでいかなければなりません。
 地場産業の魅力向上を目指し、昨年、若手経営者を中心とする「中川塾」が開講しました。毎月、塾生が深夜に及ぶ熱い議論を交わしている姿を見ますと、とても頼もしく、継承者としての期待が高まります。先月、私もトップセールスとして、国内最大規模の食の商談会「スーパーマーケット・トレードショー」に行ってまいりました。新聞報道にもありましたように、若手経営者の柔軟な発想やふるさと小豆島への熱い思いを込めた特設ブースを設置し、小豆島の食の魅力を全国に発信してくれました。引き続き、小豆島を発信する貴重な機会として、官民連携により取組みを進めたいと考えております。
  一方で、小豆島には魅力ある特産品が数多くあるにも関わらず、一目見れば小豆島と分かる、いわゆる統一ブランドがありません。瀬戸内国際芸術祭や観光を中心とした国際交流の進展によって、小豆島の知名度はここ数年で相当高くなっていると思われます。このチャンスを活かし、「中川塾」で議論を重ね、商工会、食品製造事業者等を中心に、小豆島ブランド確立に向けた検討会を設置し、将来的には地域商社の設立も視野に入れて、調査、研究を進めてまいります。
  小豆島の重要な産業の1つに観光があります。ここ数年で訪日外国人観光客が急増し、海外からも瀬戸内海、小豆島は脚光を浴びています。4月からは4度目となる瀬戸内国際芸術祭2019が開幕します。今回も町内ほぼ全域にわたって、新旧作品の展示や各種イベントの開催を予定している等、これまで以上の賑わいと交流を期待しているところです。
 また、阪神航路が就航していることも、小豆島の賑わいを支える大切な要素です。特に港でつながる神戸市との交流は、産業の活性化、観光の推進、航路の維持等、多様な関係性があり重要な施策と位置づけて取り組んでまいります。
 昨年10月、石の文化の日本遺産認定に向けて2市2町で構成する「備讃諸島日本遺産認定推進協議会」を設立し、審査委員を招いての講演会の開催やガイドの研修事業に取り組んできました。1月には、申請書を文化庁に提出し、2月には政府与党が主催する日本遺産推進フォーラムに参加する等、認定に向けた活動を進めております。現在のところ、5月には結果が公表されると伺っておりますが、元号が変わる大きな節目の年の第1号として認定されることを願っております。

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教育・文化のまち

 4つ目は「教育・文化のまち」です。
 小豆島の未来を担う子どもたちが、快適に学び、健やかに育つためには、今すぐ取り組むべきこと、将来を見据え中長期的な視点で検討すべきことをしっかりと見極める必要があります。今の子どもたち、そして、これから生まれてくる子どもたちの未来が明るく、希望を持てる教育環境をつくっていかなければなりません。私たちはその重責を担っていることを真摯に受け止めておく必要があります。
 そのうえで、私は就任直後の所信表明において、幼保と小学校の再編は、教育大綱の前提条件に変化が生じたことから、再検討したいと申し述べました。
 去る9月議会の答弁においても、教育委員からは現状と将来の見込みを十分に検討し、統合は今決めるのか、いつまでに決めればよいのかで議論の進め方が変わるとの意見があったことを申し述べ、学校の管理職や教職員から意見聴取を行い、議員の皆様には早い時期にご相談し、今後の進め方の協議を行いたいと答弁いたしました。
 以来、保護者や地域関係者等に幅広く意見を伺ってまいりましたが、当然ながらそれぞれの立場で多様な意見があり、答えが1つでない難しい問題であります。しかしながら、ただ1つ確かなことは、主役は子どもたちです。子どもたちにとって、どういった教育環境がベストであるかを様々な角度から関係者と議論し、少し時間をかけて結論を出したいと考えております。したがいまして、教育環境の再編が全て完了するには、構想づくりから建物の竣工まで、一定の年数が必要であると考えており、その間に子どもたちの学びに支障をきたすことがないよう、必要な教育環境の整備に取り組んでまいります。
 31年度予算では、保護者や地域の方々から要望を頂いております苗羽小学校の1階トイレ改修工事を実施いたします。
 2020年度(平成32年度)からは、小学校5・6年生での英語教科化がスタートします。近年の目覚ましい国際化の進展により、英語力の習得は極めて重要です。このため、町独自の取組みとして、英語活動支援員を各小中学校に配置するとともに、小学校のイングリッシュルームにプロジェクターを設置するなど、教育環境の整備を進めます。
 発達障がい等を有し、一定の配慮が必要な児童・生徒に対しては、通級指導員を増員して、個々の特性に適応した教育に取り組んでまいります。
 昨年も小豆島中央高校、小豆島中学校の陸上部をはじめ、スポーツや文化活動において、たくさんの子どもたちが全国の舞台で活躍をしてくれました。未来ある子どもたちの無限の可能性を最大限に引き出すことができるよう、外部からの人材活用として、専門的スキルを備える地域おこし協力隊の導入に加えて、競技力向上と教員の働き方改革の一環として、部活動指導員を新たに配置します。
 子育ち支援につきましては、2020年度(平成32年度)からの5か年計画となる「第2期すくすく子育ち応援アクションプラン」の策定に着手いたします。本計画は小豆島町の子育て支援の柱となるもので、子どもたちの未来のために、成長段階に応じたきめ細やかな施策を盛り込んでいきたいと考えております。策定に向けて、子育ち世代を対象としたニーズ調査を行うとともに、すくすく子育ち応援会議での貴重なご意見をいただきながら、更なる子育ち支援の充実を図ってまいります。
 小豆島町には、秋祭りや農村歌舞伎等、その地域に根差した固有の文化があります。何百年の年月を重ね、今もなお連綿と受け継がれてきた伝統があります。文化や伝統は、地域の連帯感や協働に繋がり、まちづくりの根幹と言えます。まさに地方創生の目指すべき姿です。伝統文化の活動は、子どもたちの成長を支え、愛郷心を育み、地域の活力を生み出します。31年度予算では、小豆島農村歌舞伎と古文書の調査事業を継続実施し、一定の成果を出していきたいと考えております。
 また、公民館は生涯学習の推進を図るうえで、重要なコミュニティ施設です。しかしながら、施設によっては経年劣化による老朽化が著しく、年々修繕箇所が増えています。草壁公民館については、築後約40年が経過し、屋根部分の損傷が激しく、危険な状況にあることから改修工事を行い、多世代が集う交流拠点として安全対策を進めます。
 生涯学習を担う人材育成も大切な取組みの1つです。31年度予算では社会教育の専門員として、公民館や関係団体に対して助言、指導を行う社会教育主事の資格を取得するための講習に職員を派遣します。
  「歴史文化基本構想」については、小豆島の有形無形の文化財を悉皆調査し、その保存と活用のあり方を定める重要な構想であります。昨年の教育民生常任委員会において、策定委員会を立ち上げ、構想策定に着手すると申し上げたところですが、まずは、公民館単位での地域の文化に関するワークショップを開催し、地域で何を大切にし、何を守りたいのか等の声を伺う、地域の意識調査を実施します。また、文化庁主催の現地研修会に参加する等、先進地の事例を学び、小豆島町に相応しい構想づくりを進めてまいります。

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行財政改革の推進

 5つ目は、「行財政改革の推進」です。
 これまで申し述べてきました、4本の柱に沿った各種施策を着実に進めるうえで、大切な視点になるのが行財政改革の推進です。最小の経費で最大の効果を得る行政の基本に立ち返り、無理・無駄を排除するための事業の見直しを絶えず行っていく必要があります。
 昨年5月の新庁舎への移転を契機に、業務の効率化、窓口のワンストップ化等、行政サービスの向上を図ってまいりました。今後においても、町民の皆さま方の目線に立ち、生の声に耳を傾けて、より良い行政サービスの提供と将来にわたって持続可能な行財政運営を進めてまいります。
 事務事業の重点化に向けては、31年度の予算編成にあたり、全課全事業を対象とする事務事業評価シートの作成を指示しました。去る10月には庁内に副町長をトップとする行財政改革推進委員会を設置し、事務事業評価の精査を行うとともに、組織体制の見直しについても議論を進めております。
 平成31年度では、行財政のあり方を示す「集中改革プラン」を策定いたします。本プランは、行財政改革のガイドラインを定め、各種事業における町民のニーズや貢献度、徹底した費用対効果の測定を通じて、スクラップアンドビルドを実現してまいります。
 また、町民の目線に沿った分かり易い簡素な組織体制の構築等を目指していきます。
 集中改革プランと中期財政計画は、表裏一体の関係にあることから、集中改革プランをベースに中期財政計画の見直しも毎年度行い、持続可能な行財政運営を推進していく所存であります。
 議会活性化特別委員会からは、行財政改革の一環として、ペーパレス議会システムの導入に関するご提案をいただいております。本会議や委員会等では、議案その他膨大な紙ベースの資料が必要なことや既存資料を用いる際には、持ち運ばなければならないこと等、経費や効率面からも改善の余地があり、執行部においても同様の見解であります。
 31年度予算では、手始めとして議員各位にタブレット端末を導入し、本会議等での活用を進めていただきたいと考えております。執行部におきましても、議会での活用状況に併せながら、システムの導入を推進し、議会と執行部が両輪となって効率的な町政運営を実現したいと考えております。
  私が目指す5本柱の推進には、その担い手となる人材育成が何より重要であると考えています。ここ数年で多くの幹部職員が退職を控えており、中堅・若手職員の一層の能力開発が必要となってまいります。まずは、職員自身がまちづくりのプランナーであることを十分に自覚する一方で、幅広い識見と柔軟な発想で行政サービスが提供できるよう様々な研修会や講習会等への積極的な参加を促します。
 また、新たな政策立案や現行事業の改善策等を考案する職員施策提案制度を取り入れる等、職員の意識改革や自己研鑽を通じて人材育成を図り、ひいては組織全体の強化に努めてまいります。

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おわりに

 以上、平成31年度の町政運営に関する基本方針について、私が掲げるまちづくりの5本の柱を中心に申し述べました。
 まもなく新しい時代が幕を開けます。小豆島の素晴らしい宝物は普遍的であり、その時代に生きる人たちの手で、次の世代へ宝物を確実に継承していかなければなりません。冒頭でも触れましたが、小豆島の最大の課題である人口減少と少子高齢化は容易に克服できるものではありません。自治体を取り巻く環境は年々厳しさを増していますが、この逆境の時にこそ、小豆島が小豆島として輝き続けるため、勇猛果敢に進まなければなりません。トップとしての強いリーダーシップを発揮し、職員一丸となって新しい時代のまちづくりを築き上げる所存でありますので、議員各位並びに町民の皆さまのご理解とご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、所信の表明といたします。

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