「讃岐の醤油醸造技術」が国の登録無形民俗文化財になりました

更新日:2021年07月16日

小豆島を含めた香川県内の醤油醸造技術が、国の登録無形民俗文化財に登録するように、文化審議会から答申が出され、令和3年9月に登録されました。

登録無形民俗文化財は、令和3年6月施行の文化財保護法改正で新しくできた制度で、本件は全国で登録の第1号です。

「讃岐の醤油醸造技術」について

文化財の特色

醤油蔵内部の木桶(丸金醤油)

マルキン醤油醤油蔵内部の木桶

(盛田株式会社小豆島工場提供)

醤油は、庶民生活への普及、消費量の拡大とともに,近代以降、機械化や工場での大規模生産が進み、産地においても、手工業的な性格が後退し、伝統的な醸造技術が失われつつあります。また,アミノ酸液などを添加する混合方式も行われています。

このような醤油づくりの現況の中で、讃岐地方では,「むしろ麹」と呼ばれる醤油麹の製法が伝承されており、木桶を用いた天然醸造を続けている蔵元も数多く見られるなど、我が国における醤油醸造の技術の変遷や地域差を理解する上で注目されます。

ヤマロク醤油醤油蔵

ヤマロク醤油醤油蔵の内部

(ヤマロク醤油株式会社提供)

マルキン醤油醤油蔵

マルキン醤油醤油蔵

小豆島町では、多数の醤油蔵や醤油で財を成した方の邸宅が多数残されており、これらの多くが登録有形文化財として保護されています。
登録有形文化財群及び「醤の郷」

文化財の説明

ヤマロク醤油の櫂入れ作業

木桶での櫂入れ作業

(ヤマロク醤油株式会社提供)

讃岐の醤油醸造技術は、わが国有数の醤油の産地である讃岐地方に伝承されてきた醤油づくりの技術です。

讃岐における醤油の醸造は、瀬戸内の温暖な気候や恵まれた海運上の立地などを背景に、小豆島や引田などの地域において近世以来、盛んに行われてきました。

醤油の醸造は、「一麹、二櫂、三火入れ」といわれるように、麹づくりが重要であり、引田(東かがわ市)では、麹室の中で、原料を均一に広げた筵を何段にも積み重ね、手入れや温度調整を繰り返し行いながら醤油麹をつくる「むしろ麹」の技術が伝承されています。

また、小豆島(小豆島町・土庄町)では、大型の木桶を用いた天然醸造による醤油づくりの伝統がよく残されており、近年は、木桶の製造技術の継承にも努めています。

櫂入れ作業島醸

木桶での櫂入れ作業

(株式会社島醸提供)

櫂入れ作業ヤマヒサ

木桶での櫂入れ作業

(株式会社ヤマヒサ提供)

登録無形民俗文化財について

令和3年6月施行の文化財保護法改正により、新しく規定されたもので、その無形民俗文化財の価値に鑑み、保存及び活用のために措置が特に必要とされるものが対象となります。

今般のコロナ禍による、無形の文化財継承についての危機的状況も踏まえ、無形の民俗文化財の登録制度を創設し、幅広く多様な無形の文化財に保護の網をかけることを目的としています。

 

具体的には、以下のいずれかに該当するものが登録されます(『登録無形民俗文化財登録基準』)。

  1. 基盤的な生活文化の特色を有するもの
  2. 発生若しくは成立又は変遷の過程を示すもの
  3. 地域的特色を示すもの
  4. 時代の特徴をよく伝えているもの

民俗文化財とは

民俗文化財とは、それぞれの地域に根ざした衣食住・生業・信仰・年中行事等に関する「風俗慣習、民俗芸能、民俗技術」及びこれらに用いられる「衣服、器具、家屋、その他の物件」など、人々が日常生活の中で創造し、継承してきた国民の生活の推移を理解する上で欠くことのできないものです。

「讃岐の醤油醸造技術」では、醤油という我々に身近である調味料について、醸造技術の変遷や地域差を理解する上で注目できる事例として挙げられています。

小豆島町においては、各地域で特徴的な民俗文化財が伝承されているほか、以下のような民俗文化財が指定・登録により保護が図られています。

町内の代表的な民俗文化財
有形
無形

 

この記事に関するお問い合わせ先

生涯学習課
〒761-4492
香川県小豆郡小豆島町片城甲44番地95
電話番号:0879-82-7015
ファックス番号:0879-82-1025

メールフォームからお問い合わせをする